高配当株にコツコツ長期投資

書評中心に記事を書いてきましたが、装いも新たに、高配当株投資をテーマに様々なことを書き散らしていきたいと思います。

【書評】『いま君に伝えたいお金の話』村上世彰

金融教育の重要性が叫ばれている昨今。

 

とうとうプログラミング教育が、平成32年度から義務教育として

スタートすることになりました。

 

私個人としては、プログラミングも含めた基礎学力の獲得は

最重要課題と認識していますが、

この金融教育もその中に含まれるべきだと思っています。

 

しかしながら、義務教育の中に金融教育を組み込んでいくことは

難しいだろうと睨んでいます。

 

なぜか。

 

それは、学校の先生たちは非営利団体に属する人たちであり、

金融の概要を解説することはできても、金融の役割や使いこなすためのノウハウは持ち合わせていないからです。

 

子どもたちに金融教育を施すことは、楽器を教えたり、スポーツを教えることに似ています。つまり、知識を解説するのではなく、考え方も含めノウハウを提供する必要が

あるわけです。

 

当然、学校の先生の中にも、自身で資産運用したりして、お金を使いこなしている人も

いるかもしれません。しかし、大多数の先生は公務員であり、日々の仕事の中で、

お金を生み出すという経験はないに等しいわけです。

 

なので、お金を道具にしていない人が、お金について人に教えることは、

私は不可能だと思います。

 

餅は餅屋ということでプロに頼むべきだと思います。

 

そういう意味では、この人以上に金融教育の先生として、

ふさわしい人は、いないのではないでしょうか。

 

村上世彰さんです。

 

若い世代の中には、知らない人も多いかもしれません。

通産省出身の方で、自身のファンド「村上ファンド」を率いて、

日本にコーポレートガバナンスの考え方を普及、啓蒙した方です。

 

村上さんが出現していなければ

日本人社会の真の資本主義化は、

もっとずっと先になっていたかもしれません。

 

本書は、お金とは何か?そして、どう付き合っていけばよいのか

お金を増やすためには、何が必要なのかを、小学生にもわかる言葉で

解説をしてくれています。

しかも、村上家で実際に行われている具体的な教育方法まで

紹介されています。

 

キーとなるのは、物事を数字で捉え、数字に強くなるということ。

数字を使って、遊び人生を楽しむということです。

 

金融教育と聞くと、まだまだ身構えてしまう人も多いと思います。

 

しかし、大切なのは、子どもに自転車を教えるときのように、

親も一緒に楽しみながら、成長をしていくということです。

 

金融教育とは、親子でできる数字のエンターテイメントと

いって良い遊びの一環なのではないか?

 

本書を読んで感じた率直な感想です。

 

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【書評】『すいません、ほぼ日の経営。』川島蓉子、糸井重里著 日経BP社 2018年

著者の川島蓉子さんは、伊藤忠グループ子会社のシステム会社役員を務めるかたわら、

この20年間毎日原稿を書いてきた、いわば兼業作家と言って良いユニークな経歴の持ち主。一方の糸井重里さんは、本書を手に取ろうとする読者の方には説明不要かもしれません。

 

本書は、川島さんがインタビュアーとなって、糸井さんに質問をぶつける

インタビュー集となっております。

 

本書の新しさを一言でいうと、資本主義社会にどっぷり浸かった組織人である川島さんとの対談である点です。これまで糸井さんは、クリエイターをはじめとした、”個人力”でモノを創っている人と仕事をされるケースが非常に多かったですが、本書はいわゆるビジネスマンとのやりとりとなっており、その点が、実は本書をユニークなものにたらしめています。

 

ビジネスの世界にどっぷり浸かったものなら、読み進めるとすぐに気づくのが、

糸井さんから出てくる回答が、ビジネス界の常識とほぼ真逆であることです。

 

数字的な目標を明確にしない。

生産性向上=効率UP ではない。

 

等々

 

一見すると、逆張りともいうべき考え方がたくさん登場します。

川島さんがインタビュアーであることで、その独自性が一層際立ちます。

 

ではなぜ、糸井さんの考え、もっというとほぼ日のやり方は、

ビジネスの世界で常識とされている考えと逆行をするのか、

また、新しいものとして注目を集めるのか?

 

本書にその答えがあります。

 

そしてその答えとは、

ほぼ日は、面白さを価値と捉え、面白さをお金に変える力を持つことができたから。

 

私は、そのように読み解きました。

 

では面白さを優先するとは一体どういうことなのか?

 

たくさんのお客さんよりも目の前のお客さんを大切にする

 

規律ではなく自由を

 

人を縛らず、解放する。

 

そんなほぼ日の思想が、糸井さんの言葉を通じて、

じっくりと滲み出してきます。

 

ほぼ日の行動指針は、「やさしく、つよく、おもしろく」

 

おもしろさを生み出す土台には、やさしさとつよさがあります。

人のことを考え続ける思いやりと、なんとしても実現しようとする

強さ。

 

この二つを持ち合わせている企業は、ほぼ日以外にも

実はたくさんあります。

 

でも、おもしろさを生み出すことができる企業は

ほんの一握りしかない。

 

おもしろさを生み出せる人がほんの一握りしかいないように。

 

では、おもしろさを生み出すためには、どうすればいいのか。

それは読んでみてのお楽しみです。

書評『エンジェル投資家』ジェイソン・カラカニス 日経BP社 2018年

エンジェル投資家とは、スタートアップ企業に投資を行う人です。

かつての日本にも、有望な若者に投資をして、事業を育てようとする

パトロンのような人は存在しました。

 

しかし、「エンジェル投資家」というような役割を明確に示す

概念=単語は、存在していませんでした。

 

そういう意味で、本書は、日本の資本主義をさらに前進させるために

必要な投資家の役割について、定義づけ、どうしたらなれるのか?を

具体的に説明をしている、これまで存在しなかった本です。

 

いわば、「投資家になるには?」

という問いに回答する教科書です。

 

著者であるジェイソン・カラカニスはシリコンバレーを拠点に

エンジェル投資家として活躍する当代随一の投資家です。

代表的な投資案件は、ご存知の方も多いであろうウーバーテクノロジーズ。

投資額の何万倍のリターンを得たそうです。

 

本書の内容は、まさに投資家のための教科書というべきで、

投資をやっていく上で気になる内容が目白押しです。

 

例をあげると、エンジェル投資に向いている人とは?、金がなくてもエンジェル投資家になれる、創業者にどんな質問をすればいいか?、投資案件の管理方法

等々、本当に具体的で効果的なアドバイスを惜しみなく提供してくれています。

 

本書の一番の読みどころだと感じた箇所を以下に引いておきます。

 

”いつもこう聞かれる。「どうやって10億ドルの投資先を見つけるのか?」

10億ドルの会社を選ぶのではない。10億ドルの創業者を選ぶのだ。”

 

この部分です。ジェイソンは、要するに儲かる事業アイディアがあるわけではなく、

お金になる創業者は誰なのかを見極めることが大切だと説いています。

 

また、エンジェル投資家の本質を明確に言い表す、

こんなことも言っています。

 

”基本的にエンジェル投資家の仕事というのは、ここで説明したようなチャンネルを広く見渡し、いちばん有望そうな相手を選ぶということに尽きる。大学のスポーツチームのスカウトが高校を卒業する選手を探すのに似ているかもしれない。”

 

要するに、これから成功しそうな人を見つけて、投資をするのが、

エンジェル投資家の仕事ということですね。

 

日本に限らず世界中で優秀な若者がわんさか出てくる時代に入っています。

自分自身がひとかどの人物になるよりも、ひとかどの人物になりそうな人に投資したほうが、儲かる時代が日本にもやってくるはずです。

 

そんなときの備えになる1冊です。

書評(小説)『紅い鷹』矢月秀作 徳間書店

この本を読むためなら、今日は寝不足になってもいい。

そんな本にときたま出会うことがあります。

 

『紅い鷹』は、まさにそんな小説です。

 

ジャンルはハードアクションですが、

読み進めるうちにどんどん思いもよらない展開が待ち受けています。

 

主人公の工藤雅彦は、大手の文具メーカーに勤める会社員。

営業成績優秀なのに、ある日、リストラに近いような左遷人事を言い渡されます。

納得がいかない工藤は上司に噛み付き、査定のやり直しを求めます。

 

人事本部長の佐久本と課長の岡部と面談をしました。

結局、査定をやり直したものの、言い渡されたのは、やはりリストラ部屋への異動でした。リストラに近い処遇を受けても、恋人である亜香里は、献身的に工藤を支えていきます。

 

本作の冒頭は、主人公の工藤が高校生に絡まれるシーンから始まります。

病気の母親を守るための大切なお金を無慈悲な若者にとられそうになる工藤。

ボロボロにされながらも必死に抵抗しますが、意識は遠のいていきます。

 

そこに一人の男があらわれ工藤を窮地から救い出します。

男の名は、小暮俊介。大手スポーツ用品企業の

小暮スポーツの社長です。

 

けがの完治した工藤に、小暮はトレーニングセンター行きを

命じます。

 

就職先の提案を受けた工藤は、てっきり小暮スポーツのインストラクターの養成所と思い、センターでのトレーニングをうけておりました。

しかし、そこは、工藤の思惑とは異なりとあるプロフェッショナルを養成するための

”学校”でした。その職業とは、亡くなった工藤の父親とも関係のあるものだったのです。

 

工藤、工藤の亡き父、母、小暮、佐久本、恋人亜香里。

 

登場人物全員が、深い闇を抱えていることが

本作のポイントであり、最大の読みどころとなっていきます。

 

臨場感たっぷりに情景が思い浮かぶのは、作者の筆力のたまものと

いえるのでしょう。読みだしたら、先が気になってしょうがなくなる。

一気読み必至のアクション小説です。

 

書評(ビジネス)『迷ったら茨の道を行け』佐田展隆 ダイヤモンド社

本書は、オーダースーツの製造小売り業を営むSADAの佐田社長が

その経営者としての半生を振り返った意欲作です。

 

家業を継いですぐに大きな負債を抱えたエピソードや、途中経営者をやめ再びサラリーマンになったり。また、経営者として舞い戻ってきたりと、激動の半生が生々しく振り返られております。

 

佐田社長が繰り返し書いていることの中に、

彼が家業を盛り返し、唯一無二の企業に育てたヒントが隠されていました。

 

今回はそのポイントを紹介していきたいと思います。

 

①大学時代の友人・知人をとても大切にしている

難局を迎えると、佐田社長は胸襟(きょうきん)を開いて、昔の仲間に教えを請い、

活路を見出していきます。決して独りよがりに意思決定をするということがありません。

佐田社長は一橋大学の出身ですが、持つべきものは仲間であると実感できるエピソードが満載です。

 

②テーマにもなった祖父の教えを忠実に守っていること

本のタイトルにもなっている”迷ったら茨の道を行け”という教え。

実は、佐田社長の祖父によるものです。

 

③私利私欲に溺れず、事業に邁進している姿勢

佐田社長がピンチを迎えた時に救世主が表れているのですが、

助けてくれた人が手を差し伸べた理由というのが、

人のために動くことしか考えないという佐田社長の姿勢です。

私利私欲のために事業を行う人であれば、手を差し伸べられることは

なかったのかもしれません。

 

この3つに共通しているのは、いずれも

人を大切にしているという点です。

仲間や家族の言葉を大切にし、人のことも大切に考える。

 

それこそ佐田社長の持つ大きな武器と言えます。

 

中小20万社が後継者不足で倒産すると言われている昨今。

”家業を継ぐ”という選択肢の重さと魅力を丁寧に伝えていることこそ

また本書の持つ最大の意味ではないかと読んでいて感じました。

 

中小企業が大量倒産に陥る!?

 

そう遠くない将来に訪れるかもしれない待つ日本の危機に

まったをかけるきっかけになる一冊かもしれません。

 

書評『ネットではじめる主婦のヘソクリ株』ノマディック編著 技術評論社

専業主婦にとって、ヘソクリの創出というのは、

今でも一大テーマなのでしょうか。

 

今や共働き世帯が増える一方なわけですが、

自分の資産をコツコツと増やしたい主婦の方もいることでしょう。

 

本書は、主婦のヘソクリを株式で作ることを薦めている本です。

「株ってなんだかこわいし、よくわからない」という人こそ

一度目を通してみると良いかもしれません。

 

本の中身ですが、

 

株式の仕組みや、株をどうやって買ったらいいのか?売ったらいいのか?

株を買うときはどんな情報のどんな点に注意すればいいのか?

などなど

 

誰でもわかる簡単な言葉で書かれています。

 

株の基礎を知り、証券口座を開き、実際に手続きをするまでの

良き入門書となっております。

 

株に関する知識がある人にとっては、かなり簡単な内容ですが、

小学生や中学生向けの金融教育の教科書としても非常に使える本です。

そして、働いている女性こそ読むべき本かもしれません。

 

今は、超低金利時代です。

銀行にお金を預けておいても増えていくことはほぼありません。

私は、銀行は便利なコインロッカーだと思っています。

 

定期預金に預けたとして、年利は0.01%

微々たる金利しかつきません。

 

一方で株式を購入することで得られる配当金を例に取ると、

割のいい会社だと、年間で1株あたり150円程度の配当がもらえる会社もあります。

 

100株25万円だとすると、年間で1万5千円の配当がもらえます。

150円÷25万円=0.06% 利回り約6%

 

もちろん、株価が下がれば、その配当金はもらえなくなってしまうかもしれません。

配当金には税金もかかります。

 

それでも、ただただ銀行にお金を預けることだけを考えれば

極めて合理的な資産形成方法だと言えます。

 

その配当金を再投資すれば、さらに大きなリターンが見込めるかもしれません。

 

もっというと、これからの時代、自分の資産形成だけではなく、

自分の子どもの資産形成にアドバイスできることも親の大きな役割の1つとなっていきます。

 

適切な金融教育を自らの子どもに施すためにも、

ここいらで本格的に学んでおくと良いかもしれません。

書評『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』幡野広志 PHP

私は基本的に本は、本屋さんで買う主義です。

 

目的意識のある読書だけでは世界が広がらないので、

本屋さんの棚をなんとなく見回して、

面白そうな本を探しだして買うのが好きです。

 

街でナンパをする感覚に似ているかもしれません。

きれいな人を見つけては、とりあえず声をかけてみる。

 

棚から本を手に取って、パラパラ見て見る。

 

なんとなく似ていませんか。

・・・似ていないか。

 

それはそうと、本書は新聞の広告を見かけて、

コピーを読んで、即ポチリました。

 

理由は、著者が同じ35歳で、2歳の息子がいるという共通点があったこと。

そして、余命宣告を受けており、本の構成が子どもへのメッセージとなっていること。

同じ子を持つ親として、これは読まないわけにはいきませんでした。

 

まさに子どもでも理解できるような言葉で書かれている本なので、

夢中であっという間に読んでしまいました。

 

特に印象に残ったのは以下の3点です。

 

①学校で学ぶべきは理不尽さ

 

②面白い人になるべき

 

③金融教育の重要を問いている

 

幡野さんは、命の尊さなど道徳的なことは一切主張しません。

それよりも、自分がいなくなった後の世界で息子がサバイブしていくには

どうしたらよいか。非常に実践的なアドバイスをしていきます。

 

父から息子への真摯なメッセージを読むにつれ、

自分は子供にどう生きてほしいのか?

そして、自分は父親としてどう生きていくのか。

 

そのことを立ち止まって考える非常によい機会となりました。