高配当株にコツコツ長期投資

書評中心に記事を書いてきましたが、装いも新たに、高配当株投資をテーマに様々なことを書き散らしていきたいと思います。

書評(新書)『活字たんけん隊ーめざせ、面白本の大海』椎名誠 岩波新書

女性にモテる作家といえば、私は二人思いつく人がいます。

開高健さんと椎名誠さんです。

 

二人に共通している点は、好奇心の赴くままに、世界の各地に赴き、

釣りをしたり、野宿をしたりしている点です。

行動力がずば抜けています。

 

一方で、精緻な表現やユーモア溢れる豊かなボキャブラリーで、

読み応えのある小説やエッセイを発信し続けていたことは広く知られているところです。

 

知性だけのインテリは、とかく女性からは敬遠されます。

そして、行動力だけのバカは、これまた女性からの支持率が低い。

 

知性と行動力を併せ持つ男というのは、案外少ないのかもしれません。

女性の生存本能をくすぐるものがあるのでしょうか。

 

ちなみに、本書『活字たんけん隊~』は、書評エッセイとも言うべき作品です。

 

本書の構成は、テーマに沿って、椎名さんが様々な本を紹介していくのですが、

椎名さんの考えや紹介した本の中身に対するツッコミが出てくるので、

この本自体が、エッセイのような楽しい読み物になっています。

 

それでいて、面白本も紹介してくれるので、ブックガイドにもなっており、

二度美味しい本です。

 

印象的だったのが、椎名さんの造語である”現場読み”という行為。

 

要するに、旅した現場において、その場所について書かれた書籍を読むという行為を指すらしいです。なんと素敵な行為でしょうか。

 

たとえば、アマゾンに行ったときに、アマゾンについて書かれている本を読むということです。現地で現地について学ぶ。これ以上の知的エンターテインメントはないのではないでしょうか。

 

旅行の楽しみ方が1つ増える。

そんな本でもあるのです。

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書評『ぼくと仕事、ぼくと子ども』影山大祐 トランスビュー

本を読んでいて、思わずメモしたくなる言葉と出会えると嬉しくなるものです。

印象に残る一節に出会うとワクワクするし、価値ある読書だったなと思えますよね。

 

ここでとある一節を紹介します。

 

「寛容さってのは、子どものことをなんでも許すっていうことではなくて、たとえば隣に住むおじちゃんに自分の子供を怒られた時に、『ありがとうございます』って言えるような寛容さ。それに大人同士の関係ができていれば、他の子どもを怒ることだってできるじゃないですか」

 

この文を読んで、感性の豊かな大人のことばを垣間見た気がしました。

 

今回紹介する『ぼくと仕事、ぼくと子ども』の中で見つけた一文です。

 

いきなり話は変わりますが、

最近、『子育て経営学』という本を読みました。

 

登場する10人の父親は、ビジネスの最前線で活躍する人たち。大企業の社長やベンチャー企業の経営者、新進気鋭の建築家等。

 

一昔前なら、24時間仕事に没頭していたような人たちが、子育てに高い関心を示し、

実際に深く関わり始めています。

 

最前線で働く人たちの意識と子育てへの向き合い方の変化

を感じる斬新で学びの多い1冊でした。

 

戻ります。

 

影山大祐さんの書いた本書『ぼくと仕事、ぼくと子ども』も子育てに関しての

インタビューと著者の所感が中心になっていますが、『子育て経営学』とは

少し毛色が異なります。

 

登場する人物たちは、保育園園長、絵本作家、ランドセル職人、大家、アウトドアプロデューサーなど、先ほどあげた人たちと比較すると、より”子どものため”を生業にしている人たちです。

 

冒頭に上げた一節は、世田谷にある松蔭会館という会社で常務をやっている

佐藤芳明さんという人の言葉です。地に足の着いた素敵な大人の言葉だなと感じます。

 

子育て経営学は、日々忙しく生きるビジネスパーソンの子育ての実態に触れられる本だとすると、本書は、より等身大で子どもに寄り添い生きていくためには、どうすればいいのか?という問いに対して、ヒントを得られる本ではないかと思います。





書評(新書)『パパの極意』安藤哲也 NHK出版

イクメンという言葉に長らく違和感を感じておりました。

子どもが生まれる前から感じていました。

 

この違和感の正体は何なのか?

本書を紐解いたことで、すべて解決しました。

 

もともとイクメンに違和感を感じていた理由は、

そのファッション性にあります。

 

イケメンと同様で、その奥行きをのない軽薄な感じに

ずっと嫌悪感を抱いていました。なぜ嫌悪感を抱いていたか?

 

それは、本来育児とは夫婦で協力していくものなのに、

ちょこっと子育てに携わっただけで、なんだか凄いことをやっているように

見えてしまう”イクメン”という言葉が嫌だったわけです。

 

母親は、子どもが生まれてくる前から子育てにコミットしており、

たとえば、”イクハハ”などど、わざわざいわれるようなことはないわけです。

 

それは、子育ては女性がするものという価値観が

刷り込まれているからではないでしょうか。

 

つまり、元々子育ては女性ものという凝り固まった価値観があるからこそ、

イクメンなどという新しくラベリングをするための言葉が、生まれてきてしまうわけです。

 

そんな不自然な状況に、自然体で一石を投じたのが、安藤氏です。

 

著者の安藤氏は、NPO法人ファザーリングジャパンの初代理事。

絵本ナビの社外取締役なども歴任した方です。

 

自分の父親が家庭を顧みず、安藤氏の母を軽んじるような人だったため、

反面教師として捉え、ご本人は紆余曲折もありつつも、自然と子育てを楽しむようになります。

 

読み聞かせた絵本は延べ6000冊。

保育園の連絡ノートを読みながら、晩酌をする。

 

かつてこんな父親はいなかっただろうな思わせるとても素敵な人です。

 

私は、こういう本が浸透することで、将来なりたいのは「すてきな父親」だ

という子どもが増えたらいいなと密かに願っています。

 

また本書は、育児の楽しさやすばらしさを教えてくれる本ですが、

子どもがいようがいまいが、男性の働き方を問い直す上で、有益な示唆を与えてくれる

1冊です。

 

最後にちょっと下世話な話をしますが、モテたい男子は必読の書です。

 

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書評『子育て経営学』宮本恵理子 日経BP社

これは、これからの父親にとっての教科書になる。

 

本書を読み終えて、持った率直な感想です。

登場するのは、40代までの経営者やビジネスリーダー達です。

 

それぞれが独自の子育て観を持ち、日々の子育てに向き合っています。

向き合うなんて言葉はもしかしたら堅苦しすぎる過ぎるかもしれません。

 

等身大で仕事にも子育てにも真摯に向き合う男性の姿は、

一昔前までは、あまり見られなかったのではないでしょうか。

 

私は強くそう思います。

 

昔の男は背中で語ってきたところがあります。

そこには、確実に1つの流儀があり、子どもにもある意味、

メッセージとなっていたと思います。よくも悪くも所属する組織にフルコミットしてきた。まさに、24時間戦えますか?の世界だったのでしょう。

 

ただ、それが通じたのは、労働に没頭すれば、国が富み個人にもある程度還元された

高度経済成長期というフェーズに、日本があったからなのかもしれません。

今よりも女性の社会進出が進んでいなかったことことも一因かもしれません。

 

企業全体の成長が踊り場を迎え、劇的な成長よりも生産性の向上が求められる時代、

創造性や変化に順応していく柔軟性が求められる時代においては、

仕事にも子育てにも自然体で無理せず向き合う父親の役割が増していくような気がしています。

 

そういう意味では、この本は”父親”の教科書になりうる本だなと感じました。

 

登場する人物たちは、仕事にも子育てにも全力投球する今までにいなかったタイプの

父親たちです。もっと言えば、いままでも一定数は存在していたものの、

あまり知られることのなかった父親像かもしれません。

 

もう一つ、本書に登場するような父親が増えることで、

これから壮絶な格差社会が訪れるかもしれないなという

漠然とした危機感もあります。

 

なぜか。過去に比べればこれからの父親たちのほうが、子育てに強く参画をしていくことが考えられます。一見いいことに見えますが、なぜ危機感を感じるのか。

 

それは、子育てと経営は類似していると考えるビジネスプロフェッショナルの子どもたちは、いわば仕事のプロから直接薫陶を受けることになります。

 

いわば、母親×父親の子育てが始まるわけです。

しかも、その父親達の中には、教育機関の人を凌駕するだけの知性やスキルを身につけている人も少なくないでしょう。

 

そうなると、学力の格差だけではなく、子どもが受け取る情報量や知見の絶対量に

恐ろしいまでの差がつくことになります。

 

かつての父親は、それこそ24時間仕事に打ち込み、子どもに背中を見せる事しかしてきませんでした。実際の会社においても、そういう上司の姿を見て、成長していく一部の部下たちもいたことだろうと思います。

 

しかし、直接教育を受けるとなれば、その効果、影響力はより大きなものになる可能性があります。本書にも登場する、伊佐山元さんの家庭では、夜の時間帯を使って、家族で1時間勉強をする時間があるそうです。

 

365日続けているとすれば、有益な情報交換会を年中無休でやっていることに

なります。これがどんな差につながるのか。想像するだけで、恐ろしいではありませんか。

 

これからビジネスプロフェッショナルの下で育つ子供たちは、

今まで見られなかったレベルの情報量と問題解決力を備える可能性を秘めています。

 

日本国全体で見れば決して悪いことではないですが、

経営、管理をする資本家層と使われる労働者層と、よりくっきりはっきり分かれていくのではないか。そんな不安を感じるきっかけにもなってしまいました。

書評(新書)『昆布と日本人』奥井隆 日経プレミア

みなさんにとって、昆布とはどんな存在でしょうか。

 

多くの人にとっては、取り立てて注目することのない

単なる食材なのではないでしょうか。

 

栄養価や料理が好きで味にうるさい人の中には

昆布にこだわるという人もいるかもしれません。

 

いずれにしても、普段から昆布のことを考えているという人は、

昆布で商売をする人か、研究をする人、もしくは、相当な変わり者の3種類くらいしかいないと思います。

 

正直それくらい普段昆布のことを考えるという人は、

少ないのではないでしょうか。

 

そういう意味で、本書は、一般人が持つ

昆布の印象を180度変えうる革命の書といっても良いものです。

 

著者は敦賀で140年続く、由緒正しき奥井海生堂を率いる奥井社長。

いわば昆布のエキスパートです。昆布を愛し、昆布に愛された男です。

 

本書がなぜ革命の書となりうるのか?

 

それは、本書が昆布の栄養価や産地、流通といった現代の昆布事情に留まらず、

昆布が日本人にとってなくてはならない理由を、歴史的な背景を遡って記している

点にあります。

 

その昔、北前船という船がありました。

この船は、ちょっと特殊で、単に商品を積んで船で運ぶだけではなく、

各地で商品を買い付けて船で運び、寄港地で売りさばくというビジネスモデルを持っていました。リードしていたのは、近江商人。三方良しのあの人たちです。

 

実は、この北前船が取り扱う商品の中でも、昆布は重要な役割を果たしていました。

北前船は北海道(当時は蝦夷)で昆布や鰊などの海産物を仕入れ、日本海側を渡って、

敦賀へ寄港。その後、陸路で大きな消費地である大阪、京都へ荷を運び、商売をしていました。食品の消費量が多い大都市で昆布は重宝されたわけです。

 

ここから、経由地として栄えた敦賀に昆布商が多いこと、大阪、京都でだしの効いた料理が昔から出されていたことは、歴史的な出来事に端を発することだったという発見もあります。

 

また、江戸末期、薩摩藩が倒幕に向けての活動に注力していた頃、

資金作りに活用されていたのが、実は昆布だったというエピソードも登場。

 

この二つのエピソードからも日本の歴史の中で、

昆布がいかに重要な役割を果たしていたかがわかります。

 

他にも昆布をいかに美味しく食べるかという具体的な調理方法や、

母乳と同じうまみ成分を持っていることなど、興味深いエピソードが満載です。

 

ある1つのテーマから、日本の歴史を紐解くことができる。

そんな贅沢な体験を本書を通じてしてみませんか?

 

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書評『最強部活の作り方~名門26校探訪』日比野恭三 文藝春秋

本書は、高校における様々な部活の日本を代表するような活躍を見せる高校を

著者が訪ね、取材を重ねその強さや特色迫る意欲作です。

 

ジャンルは、サッカー、野球、バレーボール、競技カルタ等多岐に渡ります。

 

私は、本作からの最大の学びは、強い部活を作るノウハウを知ることではなく、

若い頃に敗北を知ることが長い人生を生き抜いていく上で、

とても重要なことなんではないかという気づきを得られたことでした。

 

全国大会で鎬を削るような強豪は、一年中血のにじむような努力を重ねています。

 

苦労して、県予選を勝ち抜き、満を持して全国に挑む。

しかし、全国大会の壁は厚く、重ねてきた努力を踏みにじられるほどの

力の差を見せ付けられることもしばしば。

 

私は、この為すすべなく敗れ去る経験というのが、

何物にも代えがたい経験になると感じるのです。

 

青春のすべてをなげうって、自らが選んだ競技にあらん限りの時間を費やしているにも

かかわらず、歯が立たないこともたくさんある。

 

しかし、努力が報われないかもしれないということを体感した上で、

自分を超え続けるために努力を重ねる人は、がんばっても成長できないかもしれないという人間にとって非常に恐怖を感じることをいわば克服してしてしまっている状態です。

 

この、何があっても努力ができるというのは、長い人生を生きていくうえでは、

天性の才能よりも大切な才能なのではないか。

 

私は、本書を読みながらそんな思いに駆られました。

親も含めた教育に携わる人に広く読んで欲しい1冊です。

 

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書評『ピーター・ティール ~世界を手にした「反逆の起業家」の野望』トーマス・ラッポルト/赤坂桃子訳 飛鳥新社

ペイパル・マフィアという言葉があります。

 

イーロン・マスク、リード・ホフマン、ジェレミー・ストッペルマン。

本書を手にするような読者ならその名前を知っているかもしれません。

 

彼らは、とある企業の出身者です。

ピーター・ティールという男が作った「ペイパル」という企業の出身者です。

 

彼らはシリコンバレーを代表する起業家と言ってよいメンバーで

社会に大きな影響を与える仕事をしています。

 

ピーター・ティールは、類まれなる能力を持ったビジネスマンである一方、

哲学を専攻していた”超文系”の経営者でもあります。トランプ政権の技術顧問を務めていたりもします。なかなか興味深いですね。

 

また、著名な投資家ウォーレンバフェットと同様に、

長期的な友情をとても大切にする人でした。

固い友情がビジネスに与える影響を熟知していた人だと言えます。

 

超個性的な男、ピーター・ティールですが、彼の凄さがどこにあったのか?

核心に迫って生きたいと思います。

 

彼が放った印象的な言葉で、「競争するな独占せよ」という言葉あります。

ここにティールの思想が凝縮されていると言えます。

 

なぜ競争がだめなのか?

 

理由は、相手に勝つことばかり考えてしまって、

新たな価値を生み出すことに力を割かなくなってしまうからだそうです。

 

ティールは、価値を作るということに異常なまでのこだわりを見せています。

むしろ、新たな価値を生むために事業をやっていると言ってもいいほどです。

 

採用面接の際に、必ずするという質問もユニークです。

 

「あなたにとって、賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

 

言い換えれば、あなたには独自の考えがありますか?

と鋭く迫っている質問になります。

実は自分しか気づいていない価値が新たなビジネスの種になるかもしれないのです。

 

価値とは何か?

人それぞれ色々な定義があると思います。

1つのきっかけは、人とは違うということになりそうです。

 

ピーター・ティールは、とても大きな情熱で価値を生み出そうとする

 

男なのです。その手法や考え方の詳しいところは本書からじっくりと学び取ることができます。

 

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