高配当株にコツコツ長期投資

書評中心に記事を書いてきましたが、装いも新たに、高配当株投資をテーマに様々なことを書き散らしていきたいと思います。

書評『ビジョナリーカンパニー~時代を超える生存の原則~』ジム・コリンズ 日経BP出版センター

3M,ウォルマート、ジョンソン&ジョンソン、ヒューレット・パッカード

ウォルトディズニー、フィリップ・モリスソニー

 

多くの人が知っている企業です。

もっといえば、知っているだけでなくなんとなく凄い優良企業たちということは

誰しもイメージするのではないでしょうか。

 

本書は、上にあげた”凄い”企業の秘訣に迫る力作です。

 

出版されたのは、1995年。上梓されてからかれこれ23年の月日が経ちます。

 

本書は、今後も色あせることなく、経営に携わるたくさんの人に読み継がれていくだろうと思います。あまりにも本質的な原理原則について、語られているため古くなりようのない大著です。

 

ビジョナリーカンパニーとして、定義され取り上げられている企業には、

いくつもの共通点があります。

 

まずは、素晴らしいアイディアを出す特定の個人や卓越した経営能力のあるカリスマが

いる企業ではないという点です。最も大事なのは、長きに渡ってアイディアの出る組織を作ること。特定の誰かがアイディアを出すことではなく、アイディアが出てくる仕組みを作ることが大切なんだと主張されています。

 

さらに、理想をとるか利益をとるかという二者択一があったとしたら、いずれかを選ぶのではなく、両方実現させる方向を取る。これは「andの法則」と呼ばれています。

 

なので、ビジョナリーカンパニーに共通している原理は、「基本理念を守りながら常に進歩していく」という点にあります。つまり、売上や利益だけを追求することはまずなく、あくまで事業の目的、企業の存在意義を第一目標とし、その上で、利益も追求していくという極めて欲張りな戦略を当たり前のようにとっていきます。

 

そして彼らは、進歩の手を緩めないために、「BHAG」と呼ばれる、社運を賭けた目標を掲げ続けます。要するに、進化し、前進し続けることを余儀なくするような目標を常に掲げているのです。

 

この「BHAG」を達成しつづけていくために、ビジョナリーカンパニーは、カルトのような企業文化で一体感を作り上げ、たくさんの実験を繰り返しうまくいったものを残す。その一体感ある組織のPDCAをリードするのは、生え抜きの経営陣という共通点もあります。

 

進化し続けることを自らに課すために、BHAGと同じように大きな役割を果たしているのが、ライバルを「昨日の自分たち」と設定することです。常に過去の自分を超え続けることで、組織の進化を促していく。

 

ビジョナリーカンパニーは、ある基本ルールを守りながら進化を続ける、

 

頑固ながらも非常にアグレッシブな存在であると定義づけられます。

 

誰もが理解できて、真似できる可能性があるのに、多くの人に真似のできない企業

それが、ビジョナリーカンパニーだといえます。

 

非常に困難な道のりであることは間違いないですが、

この原理原則を知ることは、それだけでも個人にも企業にも大きなメリットがあります。

書評『ブランド人になれ~会社の奴隷解放宣言~』田端信太郎 幻冬舎 2018年

本書の登場で、人気職業ランキングの上位に

会社員が入るようになるかもしれません。

 

また、将来的に芸能人のギャラが下がるかもしれません。

それくらいのインパクトをもたらしうる1冊です。

 

過去にも既存業界に揺さぶりをかける出来事は、いくつか起こってきました。

たとえば、サイバーエージェントという会社の躍進。

電通博報堂など大手広告会社の新卒採用の質に少なからず影響を与えているはずです。

 

そして、素晴らしいサービスを連発するインターネット企業の登場は、

間違いなく在京キー局の新卒採用にダメージを与えていることでしょう。

 

本書は、会社員にアスリートと同様、

真のプロフェッショナルとして働くことを薦める革命の書です。

 

そして、改めてビジネスが最も面白いゲーム=エンターテインメントであることを、

田端さんはバラしてしまいました。

 

組織の一員として、つつがなく一生を終えることも多かったであろうサラリーマン。

そのサラリーマンたちに、個人のブランド力を高めて、会社と契約し、会社を利用しようと提案します。

 

つまり、なんとなく世間に漂っていたであろうサラリーマンには夢がない、という前提を根底から覆す可能性があるのです。そしてこの可能性は、ある意味ブランド人の代表格であるタレント、芸能人の地位を揺るがしうると私は思いました。

 

なぜか。ブランド人は、会社に属していながら、個人の名前を売り、SNSを駆使して、様々な仕事を仕掛けていきます。場合によっては、メディアに登場して活躍することも出てくるかもしれません。それは、ある意味サラリーマンのタレント化を意味します。あとは若者たちにとってのメディアもTVからSNSに移ってきています。

 

そうなれば、わざわざ、保障のない芸能人を目指すよりも、サラリーマンをやりながら、世に打って出ることを考えたほうが、生きやすいし、面白いかもしれません。

なによりリスクを最小限に抑えて無茶することができるので、とても美味しいのです。

 

最近、女優や芸能人と浮名を流す”IT社長”のことが話題になったりしますが、

これからは、有名サラリーマンが、芸能人と熱愛発覚なんてことも日常茶飯事になるかもしれません。

 

サラリーマンが芸能員のお株を奪う。

一昔前なら考えられなかったことでしょう。

 

しかし、それが当たり前になる世の中が、かなり近い将来訪れるかもしれない。

そんなエキサイティングな日本の幕開けを予感させる1冊なのです。

 

 

書評『生涯投資家』村上世彰 文藝春秋 2017年

村上ファンドの村上さんと聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。

あまり知らない人は、結構ネガティブなイメージを持つ人も多いのかもしれません。

 

本書は、村上氏の投資哲学やなぜ株主優位の思想を唱え、コーポレートガバナンス

日本の企業に浸透させようとしたのか?について、辿ってきた歴史を振り返りながら語られる非常に貴重な本です。

 

投資について、村上氏が語る中で、繰り返し出てくる言葉が「期待値」。

 

投資とは、資金を注入して将来にリターンを得ること。

つまりは、将来性を目利きとして判断し、期待値に賭けることだと

言えます。

 

また他にも投資家の大きな役割として、上場企業の経営者の監視、監督をあげています。

 

東京スタイルにはじまり、フジサンケイグループ阪神鉄道など、

コーポレートガバナンスとはかけ離れた企業と戦った村上氏の軌跡は、

非常に胸に迫るものがあります。

 

既得権益にしがみつくものがいかに醜いか。

その辺も本作から見えてきます。

 

明確な投資プランがないのなら余剰資金は株主に還元すべきというのが

村上氏の考えですが、そのあたり私も大いに賛同しています。

 

正直、この「生涯投資家」を読んで、日本のGDPが伸び悩んでいる理由は、

内部留保の使い道が分からないという課題にあるのではないかと思い至りました。

 

確かに会社員として出世することだけを考えている人、出世さえ望まずに、平穏無事な毎日を望む若者たち。そんな志に乏しい人が上場企業に多いのだとしたら、将来にリターンを生むような戦略など到底練ることはできないだろうと思います。

 

ではどうやって企業を揺さぶっていけばよいのか?

これは、意外と単純明確で、国民全員が投資家として活動すればいいのではないかと

極端ですが、思います。

 

投資でリターンを得られるようになれば、企業にぶらさがる必要も、老後を国に託すこともなくなり、物言うビジネスマンになれるかもしれません。

 

働き方改革が必要な日本には、お金でお金を生む発想がもっと必要だと思います。

 

書評『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』三戸政和 講談社+α新書

本書は、著者の強みと世の中の課題がばっちりマッチした、

売れるべくして売れている本です。

 

著者は元々SBIホールディングスで、ベンチャー企業への投資を行っていた

プロフェッショナルです。その人の目線で、中小企業100万企業が後継者不足といわれる現代の問題に切り込んでいきます。

 

結論から言うと、題名の通り中小企業を個人買収することを薦めております。

理由は、簡単で、資本家になっていかないとこれからの人生100年時代を生き残れないと著者は判断しているからです。では、なぜ資本家になることを薦めているのか?

よる自由な時間とお金を手に入れて、人生を謳歌していこうという前向きな目標のためです。

 

ただし、二つのことには、手を出すなと釘を刺します。

一つ目が、ゼロイチ企業。つまり0から会社を興して、起業すること。

理由は、成功できる確率が極めて低いのと、血のにじむような努力を努力とも思わない強靭な精神力を持っている人でないととても勤まらないと考えているからです。

 

二つ目が、飲食店経営。セカンドライフの過ごし方として、よく登場する飲食店経営ですが、著者は絶対に手を出してはいけないといいます。立地に左右される、長時間労働になりやすい、薄利である。など資本家の要素と反対の要素ばかりの飲食店経営者。

間近で失敗している人を見ているだけに著者の言葉には、説得力があります。

 

本書は元々は、現代ビジネスで公開していた「60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい」という連載が反響を読んで書籍化したものだそうです。

 

しかし、私はこの本は、引退を控えているシニアのみならず、大企業やベンチャー企業で10年程度経験を積み、自分の分野で頭角を現したことのある若者にこそ読んで欲しいと思います。

 

私は縁あって、10年勤めた会社をやめ、30半ばにして会社の経営に参加することになりましたが、勤め人と個人経営者ではこんなに自由度が異なるのかと1年ですでに実感しております。就職活動をしていたときに憧れたアーリーリタイヤがかなり早く実現してしまいました。

 

法人営業の経験もやはり随所で生きてきますし、大手企業に勤めていた方なら、なおさらその経験がもたらすメリットを実感することでしょう。

 

私は、資産形成を容易にするためには、以下のような戦術がいいのではないかと考えています。地方へ移住して中小企業の後継者になる。会社に勤めたまま、株式に投資し、個人投資家として生きる。会社に勤めたまま、会社を買収し、誰かに経営を任せてしまう。

 

大切なポイントは、自分がオーナーになるにはどうしたらよいかという視点だと思います。不労所得に近いものをいかに得ていくか。これから大事な視点になっていくと思います。

書評(書評)『意志の力』安田善次郎 2014年

安田善次郎とは、安田財閥創始者みずほ銀行安田生命火災保険の創始者でもある、史上最強の経営者といっても過言ではない人物である。

 

本書のカバーにも記載されているのだが、個人で築いた資産は、1921年当時で国家予算の8分の1である。%でいうと12.6%。ちなみに孫さんで0.9%、柳井さんで1.3%といわれている。いかに巨大な富を築いていたかがわかる。

 

この本は、安田が若者に向けて人生を生きていく上で大切なものを説いた書籍である。

 

作者の守屋淳が現代語訳をつけ出版した力作である。

こういう書籍が現代人に読みやすく復活することは素晴らしいことだと思う。

 

では安田善次郎とはどんな男であったか。

一言で言ってしまえば「ルーティンの鬼」である。

 

善次郎式人生訓はがっつりまとめると以下となる。

 

①習慣づけること

②質素倹約

 

まず、①だが善次郎は厳しい父の元非常に厳しい幼少期を過ごしている。

それを裏付けるエピソードが、写本の話だ。当時はまだ印刷技術が発達していないため、

本は、丸写ししたものを販売していたらしい。筆耕というらしい。

 

善次郎は夜のルーティンとして、毎日30枚書くことを日課としていた。どんな日であっても、必ずやり遂げていたという。

 

本を読むのがそもそも好きだったと述懐しているが、一日30枚書き続けるのは並大抵のことではないと思う。

 

②の質素倹約だが、善次郎の教えは現代でも活かされている。

 

収入のうちの2割を貯蓄に回すという考えだ。ファイナンシャルプランナーでも勧めてくれる人がいる考え方だ。これを実現するために、収入の8割で生活を組み立てるという計画が非常に重要であると実感した。

 

この考えを実行するとおのずと家庭も企業と同様にお金の出入りを明らかにし、経営することが身についていくだろう。

 

「ひとたび決めた方針に向かって、どんな誘惑や困難がきても惑わず屈せず、急がず焦らず、少しずつ一歩一歩を順序正しく踏み固めてコツコツと進むこと、これすべての人間が例外なく成功できる出世術である」

 

莫大な資産を築いた仕事人の言葉は、極めてシンプルだが、実行する人がおそらく数%もいない非常に厳しい道のりなのだ。

書評(新書)『キリンビール高知支店の奇跡』田村潤 2016年 講談社+α新書

みなさんは、好きなビールの銘柄というのは、ありますか?

本書を読むと、キリンのファンになってしまうかもしれません。

 

著者は、キリンビールの元副社長。営業畑で経営層まで上り詰めた田村潤さんが

書いたキリンビール高知支店の復活劇です。

 

もう1つ不思議なことですが、キリンだけではなく、

高知のファンにもなってしまうかもしれません。

高知県というのは、とにかく一番が好きな土地柄のようです。

 

本書が語っていることを一言に集約すると、

それは、理念による経営、マネジメントの重要性ということに尽きます。

 

この田村さんは、何度も何度もキリンビールで高知の人に喜んでもらうという理念を口にします。中には1000回以上言われたという部下の方もいるそうです(笑)

 

では、なぜ理念が大切になるのか?

 

理念とは、そのサービスや会社の存在意義と言い換えてもいいものです。

 

なぜ、キリンビールが存在するのか?

→お客様に喜んでもらうため。

 

では、喜んでもらうためには、どうすればいいのか?

→すぐに手にとってもらえる状況を作ることが必要

 

そうすると、営業の力で一番目立つ状況を作るというビジョンが生まれてきます。

 

ビジョンができれば、それが、どうやって行動したらよいかの羅針盤になりますから、

自らの頭で考えやすい環境が出来上がってきます。

 

自らの頭で考える社員が増えれば、後は放っておいても売れ始めます。

 

一番肝心なのは、理念を元にどうビジョンを設定するか?

 

田村さんの場合は、徹底的な現場主義によって、

ビジョンは確立されていきます。

 

毎日、料飲店でお客様の声に耳を傾け、自社のサービスに何が足りないのか?

生の声を掘り続けていきます。

 

実際に、ビジョンが見えた社員たちは、自らキリンビールがあるシーンを

様々に思い浮かべ、色々なところに営業に飛んでいきます。

 

仕事にもプライベートにも活かせる考え方を学べる

貴重な1冊です。

 

書評(エッセイ)『道なき未知』森博嗣 KKベストセラーズ2017年 

最近のお気に入りは、森博嗣さんのエッセイを読むことです。

 

なぜ気に入っているかというと、森さんは、モチベーションの源泉が極めて

個人的なことにあり、他人に嫉妬しない性格を持っているところに

強く共感をしているからです。

 

また、彼の魅力は世の中にある真実、ちょっと大げさに言うと、

森さんが突き止めた真実を”惜しみなく”、言語化してくれる点にもあります。

 

身もふたもない話も多くなるわけですが、

冷静に本質を突く言葉の数々が、大人な感性を持った人には、

とても気持ち良いのではないかと思っています。

 

■お金持ちのなり方=成功の仕方

これも、森さんの考え方は、独特ですが、説得力に満ちています。

お金を得て成功する人というのは、今までになかった仕事で成果を出した人。

たとえば、最近では、ユーチューバーなどは非常にわかりやすいかもしれません。

TVが一番の娯楽だった時代には、当然ですが、なかった仕事です。

スマホが人々の生活インフラになったことで、誕生した仕事だということができるでしょう。

 

■虫のいい話を書くこと

売れる本とは何か?森さんはそんな話題にも切り込んでいます。

面白いとか、話題の人が書いているとか、森さんはそういうことは一切言いません。

 

人は、楽にダイエットできるのように、

虫のいい話に食いつきやすいと森さんは言います。

だから、虫のいい話を書くことができれば本も売れると

そういう言い方をしています。

 

■夢をかなえる最高の方法はとにかくコツコツと続けること

夢をかなえた人のインタビューでよく聞かれるのは、20代は寝ないで働いたとか、

とにかくがむしゃらに頑張ったというハードワークを推奨するもの。

でも安心して下さい。森さんは、決してハードワーク推奨派ではありません笑。

むしろ、一日1時間しか執筆しない人ですので、極めて省エネ派ということもできます。

「夢を叶える」というジャンルの中に”コツコツ”という、実は誰にでもマネできる平凡なフレーズを持ち込んだのは、大きな功績なのかもしれません。

 

■本を読むことは考えることではなく学ぶこと

森さんは、考えるということが、どういうことなのかを考え続けている人です。

印象的なのは、本を読むことは、考えることではなく、学ぶことである、ということ。

つまり、本を読んで満足するだけでは、考えたことにはならない。

考えた人のことを、なぞっただけになってしまいます。

どちらかというと、たくさんの本を読んできて、考えた気になっていたので、

これには大きな気づきを与えられました。

 

■考えるとは何か?

では、考えるとはどういう行為をさすのか。

森さん流に言うと、それは「発想」するということになります。もう少し、分解すると、

つながっていない道を結びつけるためのきっかけを思いつくことであると。

たとえば、国語や社会は、思い出して解答する学問だが、数学は、最初の発想が大切で、そこがクリアできれば、後は計算でしかないと言います。

「突飛な思いつき」という言葉も使われていますが、いかに想像性たくましく、妄想できるかが大事とも言い換えることができるでしょう。

 

普段から、いろんな点を集めて、点と点を結ぶ訓練をしておく、

そうすると、発想力が豊かになって、考えのバリエーションも増えていくのかもしれませんね。

 

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