読むと本が読みたくなる本。
本書は、そんな本です。
目黒考ニの名前の方に馴染みが深い人もいるかもしれません。
書評家としての40年を振り返り、様々なエピソードが紹介されているのですが、
あるアイディアに北上さんの人生観が集約されていると私は感じています。
それは、「日本読書株式会社」という概念です。
実在の会社ではなく、北上氏が生み出した概念ですが、
「本だけ読んで、生活していきたい」という思いが込められています。
書評家というのは、まさに本を読んで生活している人かもしれません。
ただ、本を読んでいるだけではなく、その内容を面白おかしく紹介しないと
仕事にはなりませんから、結局そんな楽な商売ではないと言えます。
本書の中でも触れられていますが、書評家一本で生活ができている
人は極めて少ないようで、ほとんどの人がなんらかの職につきながら、
書評を書いているケースが多いようです。
北上さんも本の雑誌から離れた瞬間給料がなくなり、
ギャンブルの資金繰りが困難を極めたようですから笑
書評だけで生計を立てるのは、至難の業なんでしょう。
何を隠そう本の雑誌社も長らく原稿料として
図書券500円分を渡していたそうですから。
本書は三つのタイプの人におすすめしたい本です。
①書評家を志している人
②面白い本を探している人
③読書は雑食派という人
①現実を知ることができるので参考になることが多いです。
②すぐにでも本屋に走りたくなる作品がお腹いっぱいになるほど登場します。
③たくさん読んできた自負がある方でも1冊は興味深い本に出会えると思います。
最後に余談ですが、先日ある職種で40年間勤めあげた方とお会いする機会がありました。
なんともいえない清潔感、物腰の柔らかさ、内に秘めた自信、とても魅力的な方でした。
40年間1つのことを続けるというのは、並大抵の事ではないだろうとその方に出会って感じました。
40年と言えば、丁度新卒で入社した人が定年退職するまでの歳月。
人生100年時代とは言われていますが、40年という歳月からも受け取るものは多いと思います。
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