高配当株にコツコツ長期投資

書評中心に記事を書いてきましたが、装いも新たに、高配当株投資をテーマに様々なことを書き散らしていきたいと思います。

書評『萬月な日々』花村萬月 2012年

花村萬月。20代初頭に心を鷲づかみにされた作家だ。

 

きっかけは、芸人笑い飯の西田さんが好きというのを何かで読んだことだった。

 

当時(今でもか)、自己顕示欲が人一倍強いのに結果何一つできていなかった自分に

花村萬月の小説は、前に星空が広がりくらくらするようなメガトンパンチを食らわせた。

 

ナイーブな青年たちが容赦のない暴力を振るい、性行為に耽溺していく様子に

ただただ眩しいまでの嫉妬を感じ、悶々としていたのを今も覚えている。

 

幸いパートナーにも恵まれ、人並みに性を営むようになり、だんだん疎遠になっていった。

 

10数年ぶりに花村萬月の著作を手に取った。

エッセイである。

 

花村節炸裂の本だった。正確無比かつ縦横無尽に言葉を操りつつ、

卓越したワードセンスで味付けられる文章に思わず身を乗り出して笑ってしまう。

 

そして、やはり今でも身につまされるのは、客観性なき若年層に向けられる厳しい姿勢だ。

 

かくいう私も誰に頼まれるでもないのに、もてあます表現欲を落ち着かせるべく

こうして書評などを偉そうに書いている。

 

自分が見たものや感じたことをできる限り客観的に捉えて書いていく。

そしてまかり間違っても、勘違いして人におすすめしたりしてはいけない。

 

自慰行為を人に見せている羞恥の自覚を持ちつつ、

文章を書いていることを忘れてはいけない。と強烈に思う。