皆さんは「大人の嗜み」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
私は、「ボトルを入れる」を咄嗟に思いついた。
私自身、齢34歳になるがいまだかつてボトルを入れたことがない。
母親に問うてみると、昔は誰しもボトルを入れていたそうである。
やはり経験不足の新世代の経験値は低いのだろうか。それとも酒のあまり飲めない私が、取り残されているだけなのだろうか。事の真相はわからない。
だが、「大人の嗜み」というフレーズにはなんともいえない甘美な響きがある。
なんとなく「大人の嗜み」を増やしていけば、もっとモテるのではないかという下衆な妄想も浮かんでは消えていく。
玄関にあぐらをかいてゴルフクラブを布で磨くのも、なんとなく大人の嗜みといえる。
少しばかりオッサンのような苦さが残るのが玉に傷か。なんとなくスラックス&白いソックスが想起されるのも苦味に輪をかけている。
そもそもが「大人の嗜み」を必死で考えてやろうとしている時点で、非常に子供っぽいといえる。真の大人はさりげなく行動するもので、あえてやっている時点で、子供じみていることは否めないだろう。
ただ、たとえ子供っぽいといわれようとも、「大人の嗜み」を理解し、それを積み重ねて生きたいというのが、私の現状における目下の課題である。多かれ少なかれ同じ課題を抱えている30代はいるのではないかと密かに感じている。
その「大人道」のヒントになるかもしれないのは、日経新聞で連載中の林真理子の『愉楽にて』である。内容は、53歳の悠々自適に暮らす男性が、30代の女性を片っ端からたぶらかしていくという今のところきわめて清々しい小説である。
主人公「久坂」は余裕のある素敵な中年男性である。シンガポール行きの飛行機では白ワインを飲みながら読書をし、顔なじみとなったCAから名詞を渡される。ラブシーンにおいては、女性の胸をもみしだき「素敵だよ」とつぶやける正真正銘の大人の男性である。
この「久坂」はある意味人生を「嗜み」尽くしている。文学を嗜み、酒を嗜み、女を嗜む。もう嗜みまくりである。
今後何をどう嗜んでいくのか、展開が非常に楽しみである。
「大人の嗜み」を知る上でのヒントが出てくるに違いない。
引き続きその生態を観察し続けたい所存である。