本来100万人に1人の存在になろうとすると、オリンピックでメダルを取るレベルまで
登り詰めないといけません。
これは、非常に大変というかそもそも実現可能性がほとんどありません。
でも、著者の藤原和博さんが説く、
方法論は一味違います。
100分の1人を3つ掛け算しようと言うものです。
これは、藤原氏は”キャリアの大三角形”と呼んでいます。
具体的にはどういうことか。
例えば、藤原さん本人を例にすると、次のようになります。
第一弾(20代):リクルートで営業マンとして、数年。営業とプレゼント鍛えまくる。
第二弾(30代):営業マネージャーとして10年。マネジメントを叩きこまれる。
第三弾(40代):教育業界へ飛び込み、民間人初の中学の校長先生となる。
他には、藤原さんのこの理論を激賞しているキングコングの西野亮廣さんも
例としては、分かりやすいです。
第一弾:芸人
第二弾:絵本作家
第三弾:オンラインサロンオーナー
二人とも置かれた場所で、徹底的に頑張りぬいて咲き誇っているという事実から
決して楽な道ではないということは認識しておかないといけないわけですが・・・
100分の1くらいなら、我々凡人でも何とかなるのではないかと思わせてくれるところがありますよね。
藤原さんは、我々の救いになることを主張しています。
それは、誰でも10年くらい1つのことに集中して取り組めば、
100分の1くらいの存在にはなれるということ。
何を隠そう私も苦手としていた営業職で社会人をスタートしました。
最初は、苦手意識もありましたが、10年立つ頃には、トップセールスにもなり、
自信を持つことができました。
これまでも、藤原さんは色んな本やインタビューでこの理論を主張してきているのですが、
本書が特徴的なのは、このキャリアの三角形を実現した人が、無名な人も含め実例として何人も登場するという点です。活躍されている分野も様々なので、どんな人でも、
読み進めれば、参考になる事例と出会えるはずです。
とかく日本人は仕事、職業において一本の道を歩むことをよしとするところが
あったと思います。
でも、キャリアの大三角形理論に寄って立てば、何も道を1本に絞る必要もなく、
人生設計を本当に長い目で見て、作っていくことができます。
本書は、1つのキャリアにしがみつき市場価値がなくなってしまうことに厳しく警鐘を鳴らしています。でもその事実から目を背けるのではなく、3本の柱を立てることで、ユニークな人生を築くとともに、市場価値も高めて稼げる人材になるという点にフォーカスすることで、人生を前向きに捉えることができる希望の書になりうると私は思います。
もっと言えば、今やっている仕事に疑いを持つことも大切ですが、
やり切れていないと思うなら、もう少し踏ん張ってやってみる。
納得感のあるところまでやり切ったら、次の道を模索する。
急いで成功にたどり着く必要など全然なく、やりたい道を
やりたいように進んでいくことが大事なんだという事も著者の重要なメッセージなのではないかと思っております。