興味はあるけど、縁がない業界については、
小説を読んで学ぶに限る。
本書を読んで持った感想です。
私は、昨年から資産運用の一環として株式投資をはじめました。
ネットの証券会社に口座を開き、少しずつ投資を開始しています。
なので、頭の片隅には、常に株式のことがあります。
そんな中、なんとなく本屋をぶらぶらしていて、出会ったのが本書です。
「少数株主」というタイトルに惹かれ、手に取ってみると、
世の中には、未上場の中小企業の株を縁あって所持している株主がいることが
分かりました。
主人公は、バブル期に不動産事業で名乗りを上げ、崩壊するまえに、
過度な投資から手を引き一線を退いた凄腕の事業家の高野。
そして、その高野の野望を実現すべく彼を支える弁護士大木を中心に
物語は進んでいきます。
ストーリーの主旨は、未上場企業の少数株主として、保有している本来の権利に見合わない
配当しか受けていない株主に、企業に株式の売却をするよう持ち掛け、本来の価値に見合った報酬を得るために援護射撃をしていくというもの。
いわば、塩漬けにされた株式を開放し、中小企業の内部留保を外に出そうとする取り組みです。
著者の牛島氏は、現役の弁護士で、企業法務に精通したプロフェッショナル。
高野と大木の間では、高度に専門的な会話もたくさん出てきますが、
物語を楽しみながら勉強することができるので、一度に二度美味しい小説です。
そして本書が生まれるベースとなっているのが、大日本除虫菊株の相続税の問題です。
蚊取り線香で有名なキンチョーこと大日本除虫菊の株0.49%を、相続した男性がいました。その男性は、元々4.99%を保有しておりました。足し合わせると、持株割合は5.48%になります。税務署は持株割合が5%を超えると「経営に影響がある」として、株の評価方法を変えるそうです。その結果、税務署は、男性が465万円と思って申告した株を1億6000万円と評価し、1億円もの相続税を課しました。
法の名のもとに理不尽な目に合う人が後を絶たない日本。
そんな課題先進国の日本に一石を投じるのが本書と言えるでしょう。
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