その昔、芸人アンタッチャブルの漫才で「プロポーズ」というのがあった。
ザキヤマがプロポーズをしてみたいというのがそのテーマだ。
冒頭のボケで、まずどこでプロポーズをしていいかわからないと言い出し一発かます。
ザキヤマ「精米所とかだとまずいでしょ?」
柴田「まずいよ!米の音で聞こえねーもん」
というやり取りがあった。
大変好きなボケで長らく思い出し笑いの引き出しの一つである。
それはそうと、先日親戚筋よりお米をもらう機会があった。量はなんと30キロ。家計を下支えする大変ありがたい量である。
ただ、精米するまでの米のため、精米所に行って精米をする必要がある。
東京に暮らしていたときは、日常生活でお米を生活することなど考えられなかった。
イオンで無洗米を買って終わりである。
しかし現在の住居は静岡。ありがたい話がちょいちょい舞い込んで来る。
幸いなことに近くにJAがあり、そこに証明写真機のごとく併設されているので、
精米しに行ってみた。
料金は7キロgからで100円。30キロ精米しても400円である。
まずは、コインをいれ、所定の位置に米をざーっと流し込む。この流し込みが大変に気持ちが良い。ふとショベルカーを運転してみたくなった。でかい機械を操作して砂をいじるのはさぞかし気持ちが良いと思う。素人の戯言だ。
その後はボタンを押して精米スタートである。ががががーと一気に米は機械の中へ入っていき順次精米されていく。
そして、取り出し口のほうに、米のシャワーは降りしきりうずたかく積まれていく。
精米したてのお米はどこかつやつやしていて、湯上り美人を髣髴とさせる。
あとは抱くしかないという風情である。
失礼。品位に欠けた。
一連のプロセスを経てみて分かったが、精米所でのプロポーズは困難を極めると理解した。もし精米所でのプロポーズを検討していた男性陣がいたとしたら、断念することが懸命な決断となろう。
まず、精米中のプロポーズには無理がある。音にかき消されて、思いのたけをぶつけてみても、それこそ糠に釘である。彼女は興ざめしてしまうだろう。
それでは、精米前のプロポーズはどうだろう。早く精米後の姿を見たくて、二人ともそわそわしてしまいプロポーズどころではなくなるだろう。
最後に精米後のプロポーズだが、あの光り輝くお米の前に人間のプロポーズなどあまりに無力。給与の3ヶ月分費やした指輪が無残に色あせるだけだ。プロポーズなど捨て置いて、一目散に帰宅し、米を炊こう。
プロポーズはそれからでも遅くないはずだ。