高配当株にコツコツ長期投資

書評中心に記事を書いてきましたが、装いも新たに、高配当株投資をテーマに様々なことを書き散らしていきたいと思います。

会社員を辞めたとも日経は購読している。

会社員を辞めたあとも、日経新聞は購読している。

理由は、ビジネスの世界の情報から離れすぎると自分がつまらなくなるような気分に襲われるからだ。

 

今までのように自分の仕事に照らし合わせながら記事を読むことは難しくなったが、

なるべく目を通し吸収するようにしている。

 

とかく企業の取り組みや新サービスの記事に目を奪われがちだが、

今回はある作家の文章を読み思わず唸ってしまった。

 

2017年9月10日付けの文化欄に伊集院静さんの文章が掲載された。

タイトルは『一葉の写真』。仕事場においてある一枚の写真のエピソードから文章はスタートする。そして、だんだんとその背景が明らかになる。写真の好々爺はサントリー創業者の鳥井信治郎さんとわかる。本文の趣旨は「陰徳」についてのエピソードと鳥井信治郎の魅力について書かれている。

 

ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思うが、この記事を読んで感じ入ったのは、

プロの小説家の文章力である。一言で言えば、言いたいことを書くためにつむぐ物語に人をひきつけるための魅力と仕掛けがある。

 

思えばこの10年間ビジネス書ばかり読んできてしまった。数えてはいないが、おそらく300冊くらいは読んでいるのではないだろうか。もちろん仕事に実際役立った考え方などもあるが、印象に残る一文や何度も読み返したくなる本にはほとんど出会っていないのが実情だ。

 

ビジネス書は、概ね著者が一生懸命に仕事をするなかでまとめた文章なので、

多くが著者の経験したことの域を出ていない。もっといえば脚色をする力は底まで望めないし、求められていないともいえる。それはそれで悪いことではないのだが読み応えのある文章にはなりにくい。

 

一方伊集院さんの文章には、情景が思い浮かぶような表現、実際のエピソード、人間の本質を鋭くつく記述など魅力的なポイントが数多く含まれている。

 

小説家や漫画家などものづくりをする人のエッセイが人気を博しやすいのも

このあたりに理由があるのかもしれない。

 

読み応えのある人間になるためには、小説を読み続けておいたほうがいいのかもしれない。