高配当株にコツコツ長期投資

書評中心に記事を書いてきましたが、装いも新たに、高配当株投資をテーマに様々なことを書き散らしていきたいと思います。

エッセイ「規則正しい男が抜擢される時代の始まり」

日経新聞の「けいざいじん」というコーナーを毎回楽しみにしている。

上場企業の社長に着任する人の「人となり」を紹介する記事だ。

 

最近の複数回を見ていて、あることに気がついた。

 

アステラス製薬ソニー東急電鉄日本電産

名だたる企業であるが、新たに社長にする就任する人たちに共通しているのは、

派手さよりも実直な業務推進能力だ。長きに渡り仕事を着実に積み上げてきた人たちという印象が強い。

 

0から1を生み出す人たちというよりは、マイナスをプラスに戻すような人たち。

サッカーで言えば、ディフェンス陣の雄といったイメージ。単なる偶然なのかもしれない。

 

ただ、日本電産の永守氏は子会社の立て直しを任せると経営手腕が分かると言っている。

 

中小企業をはじめ多くの企業で後継者問題が取りざたされているが、次世代を担う人材は実は、地味でまじめな人たちなのではないか。そして、企業の代表に限らず、様々な分野でそういう人材が求められているのではないか、そういう人材が成果をあげているのではないかというのが、という思いを最近強く持っている。

 

先日の日経新聞のスポーツ欄のコラムで、青山学院の原監督が、規則正しい生活のススメという文章を書いていた。無理をせずに着実に日々を積み上げていくことが重要という意味のことを主張していた。

 

話は飛ぶが、実力派芸人のコンビの中でもとりわけ玄人好みのサンドウィッチマンというコンビがいる。わざわざ説明しなくても知っている人も多いだろう。彼らは、今でも単独ライブをルーティンとしており、ボケの富沢のほうは、多くの時間をネタ作りに割いているという。

 

また、かつて国家予算の8分の一の財産を築いた安田善次郎という男がいる。

安田財閥創始者だ。

 

彼曰く、成果を決めるのは、習慣だと言い切っている。どれだけ実のあるルーティンを毎日こなしていくか。

 

卑近な例だが、1日10回の腹筋も365日続けると3650回まで積みあがる。

当たり前だが10年間で3万回にも及ぶ。

 

日経新聞に話を戻す。2月18日付けの新聞にBMWの広告が出ていた。

 

「日々の努力、小さな積み重ねが革新性につながる 中田英寿

 

質の高いルーティンを持つ者か否か。

改めて採用、抜擢における判断軸になるのではと睨んでいる。

書評『親鸞(上)』五木寛之 2011年

立川談志は落語とは人間の業の肯定と言った。

「業」とはどうしようもない人間の弱い部分と言い換えることもできるだろう。

 

親鸞は人間の「業」と徹底的に向き合った、もっと言えば”幸いなことに”向き合わざるをねなかった男といえるかもしれない。

 

本書は、親鸞の幼少期からの出会い、生き様、苦悩を描いた成長物語である。

物心つく前から、堂僧として比叡山に入り、ただひたすらに学問と念仏にあけくれた親鸞

 

しかし折に触れて自らの胸に去来する違和感。

それは自らに流れている「放埓の血」が原因となっていた。

 

仏道に身をおきながら、心の奥底にうごめく「放埓」と向き合う姿には、孤高の存在だけがもちうる悩みだと感じる一方で、誰しもが共感できる部分もあり、興味深い。

 

坊主の話と聞くと、敬遠する人、退屈なのではと想定する人もいるかもしれないが、

そこは、五木寛之の著作である。魅力的な人物の目白押しである。

 

圧倒的な文章力はもとより、展開するストーリーにおいて、常に人間の持つ欲望の生々しい躍動があり、読んでいてあきることがない。

 

物語は、闘牛の場面から始まり、俗世間をたくましく生き抜く男たちとの出会い、

わけ隔てないおおらかな心を持った「大文化人」後白河方法に恨みを持つ男との戦い

など、刺激的なエピソードで溢れている。

 

本巻の一番の読みどころは、幼少期から青春時代にかけて修行に明け暮れた

親鸞に決定的な意思決定をもたらす一人の女性との出会いである。

 

親鸞はその女性と計2度出会うことになる。

そして、ある事件をきっかけに親鸞の運命は大きく変わることになる。

 

人間の業に向き合い続ける男の戦いに向き合うことは

自分自身がどういう人間であるかを問うことにもなるだろう。

 

業深き人間たちの運命が交錯しあい物語は進展していく。

心の中をかきまわしてくる作品であることは間違いない。

書評『モネのあしあと』原田マハ 2016年

あなたには好きな画家がいるだろうか?

本書は好きな画家を持つことがいかに幸せなことかを教えてくれる。

 

原田マハさんは、元々アートの世界に身を置いていた作家である。

アートを仕事にしていたときと比べると、肩肘張らずにアートに向き合えるようになったという。

 

楽しいアートエッセイというのが本書の印象であるが、生業から離れたからこそ、

書けたものなのかもしれない。

 

本作の中で取り上げられるのは、印象派を代表する画家、モネ

モネの作品をはじめ様々な画家の作品を取り上げながら、その魅力を語っていく。

 

印象派の絵画がなぜここまで日本人を含め多くの人を魅了するのか?

その疑問にも答えてくれる1冊となるかもしれない。

 

私が読んでいて一番感銘を受けたのは、「妄想のストック」という彼女の言葉だ。

 

この妄想のストックは現存する画家足跡を辿りながら彼女の中に蓄えられている。

 

本当に手持ち無沙汰な状態で妄想を行うことは並大抵のことではない。

 

やはり何かきっかけになるもの=メディア(媒介)があるからこそ、

思いをめぐらせることができるのだろう。

 

それが、心をひきつける絵画であれば、妄想の営みは貴重で豊かなものとなるはずだ。

 

じっくり思いを巡らせ、イメージを膨らませる。さらには、画家が関わった土地に足を運び、歴史的な背景も知る。

 

贅沢な大人の遊びといえるだろう。








書評『保育士という生き方』井上さく子 2018年

保育士のイメージを一変させる書籍が必要だと感じていたが、その一端を担う本が登場した。著者は38年間保育の仕事に携わってきたエキスパート。

 

井上氏は保育のゴールは「自己肯定感を持ってもらうこと」だと主張する。

 

保育は誰でもできる仕事と主張する人もいることを考えると、

人に自己肯定感を持ってもらうと聞くとそんなに難しい仕事?という声もあるかもしれない。

 

本書は、保育士になるきっかけから始まり、母親業との両立、園長になってからのこと、今後の保育園に対する思いなどが語られている。

 

保育士を目指す人はもちろんのこと、イメージばかり先行して、実態を知らない人

にも是非手にとってほしい1冊だ。「子どもと遊ぶ仕事でしょ?」というような心ない言葉も聞かれる保育士だが、この本を読めば、そんな甘いイメージは一変されるだろう。

 

あくまで参考だが、保育士に求められるスキル例を列記してみたい。

 

子どもをしっかりと見守り安全を確保→警備業の要素

 

子どもに刺さる遊びを生み出し実行する→企画、プレゼンテーション力

計画を遂行するために集団をスケジュールどおりに導くリーダーシップ→ツアーコンダクター的要素

 

様子の変化をいち早く読み取る→観察力

 

ぐずる子どもを説得し行動を促す→言葉で人を乗せる表現力、説得力

 

落ち着いた午睡を実現するための寝かしつけ→子どもごとのツボを押さえスムーズに入眠させる。

多忙な保護者たちに子どもの様子を的確に伝える力→要約力

 

あまりクローズアップされないが、一流の保育士たちは、ビジネスの世界でも重宝される能力をいくつも兼ね備えたエキスパートである。

 

また、井上氏が園長に就任してからのエピソードも興味深い。

 

近隣との騒音問題も各地で勃発しているが、井上氏はクレームの声をあげた夫婦を保育園に招待をしている。しっかりコミュニケーションをとり、子どもの実態を見てもらい、最後には「本当に良い園ですね」と言わしめている。

 

プロ意識を持って、子どもの笑顔を見ることを目指した井上氏が為した仕事は非常に大きい。





書評『世界一の庭師の仕事術』石原和幸 2009年

著者は大学卒業後路上の花屋からスタートし、一念発起して、イギリスの権威あるコンテスト「チェルシーフラワーショー」でゴールドメダルを受賞した。本書は、その成功までの道のりを自ら語った物語である。

 

2つの視点から本書を分析してみた。

 

①成功の要因と②失敗した要因である。

 

まず①であるが、これは間違いなく「目の前のお客さんを喜ばせ続けた」ことに他ならない。感動を与えるとお客さんが営業マンになってくれると語っているがまさにそうである。

 

②については、社長業に専念するようになり①ができなくなったこと、金を手にした事で考え方が「結果的に」横柄になり、目の前の顧客から離れてしまったことが大きいように思う。

 

よって本書から学べる最大の教訓は、「奢れるものは久しからず」ということになるが、常に成功する人は、自らの強みを活かし続けながら、不断の原点回帰をする人であることを示唆してくれる。

 

また、思い立ったら即行動に移すその行動力には舌を巻くほかない。

 

見たいと思ったら見に行く。

会いたいと思ったら会いに行く。

 

素早い行動の積み重ねは、ある時大きな飛躍に繋がることを著者は教えてくれる。




書評『学校も会社も教えてくれないお金のこと』中村芳子

著者は20代、30代のお金の啓蒙に力を入れているファイナンシャルプランナーだ。

 

これは私の印象だが、ファイナンシャルプランナーは家計の見直しを生業にしていることもあり、おしなべて個人にとって有益な著作が多い気がする。

親切で良心的なものが多い。

 

本書は、日本が抱える課題を真正面から受け止める本である。

それは、金融リテラシーの偏りの是正という課題である。

 

2020年小学校の教育要録が改訂される。英語教育やプログラミング教育に力が注がれることになる。

 

ソフトバンク孫正義は、過去にこれからのビジネスマンに必要なのは、英語、テクノロジー、ファイナンスと主張している。

 

ようやく日本の教育でも英語、テクノロジーについては、注力されることになる。

 

しかしながら、いつまでたっても遅遅として進まないのが、金融教育ではないだろうか。

 

実はお金に関する良書は世の中に溢れている。小口投資の重要性、自動積み立ての重要性、家計の管理はビジネスそのものであること。

 

優れた先人たちが知見を本にまとめている。

 

にもかかわらず、日本全体の金融リテラシーのレベルの低さは、何に起因するのか。

これはもう教育レベルの低さに他ならないと思う。国全体で実施していないことが問題である。

 

いくら専門家が良書を出版しても、その知見を受け止められるだけのアンテナがなければ、どんどん埋もれていってしまう。

 

義務教育のレベルで金融教育をほどこさなければ、とても貯蓄→投資へのマインド変化など望むべくもないはずだ。

 

おそらく本書に書かれている内容は、親が金融関係者や知性ある人なら、

小学校高学年、場合によってはもっと早く教えられている内容だと思う。

 

小学校の図書室の本の選本は誰がやっているのだろうか。

こういう本こそ早くから触れさせるべきだと思う。

書評『1000円投資習慣』内藤忍

小口投資は今後さらに注目を集めていくと思う。

投資信託、NISA,iDeco、等、

 

最近はビットコインの影に隠れている印象もあるが、

実は、日々様々な広告を賑わせている金融商品だ。

 

上記、「投資信託、NISA,iDeco」をまさに説明してくれているのが、本書だ。

 

著者はマネックス証券の創業にも携わっている金融のプロ。

 

本作でも、薦められているのは、無理のない継続的な投資である。

 

近い将来に使うお金をためるなら、NISA

老後の資金を調達するならiDeco

 

と具体的に提案してくれている。

 

学ぶべきは、銀行に預けていてもお金は増えない時代、

自力で資産形成をしていく必要性を理解することである。

 

そのときにキーになるのが、分散投資であり、

少しずつ「お金」にも働いてもらおうという思想ではないだろうか。

 

これは、生産性の改善が毎日叫ばれる日本で、会社に頼らなくてもサバイブできる

個人を増やすためのとても重要な考えになりうるはずだ。

 

ある人物が、「日本人はコンクリートに一生涯かけてお金を払う」といった。

 

要するに金を産まない住宅を重たいローンを背負ってまで手に入れようとする。

 

賃貸で十分という人も増えていると思うが、まだまだ新築への信仰は根強く、

ローンを払い続けることをいとわない人も多いのでは内科と感じる。

 

今後サバイブする日本人に必要なのは、お金を部下として、がっつり働かせるマインドと

知恵にほかならない。

 

当たり前のことをあえて言うと、

組織に所属をすること=つまり会社員になると、給料があることで、

個人としての売上はストック収入となる。

 

フリーランスは基本フロー所得でがんばっている人たち。

そこから比べてると、とてつもなく恵まれているといえる。

 

さらにそこから抜け出していくためには、ストックの所得の一部を投資に回し、

お金に働いてもらうこと。つまり「不労所得」を得ることだ。